天守物語 Tenshu-Monogatari [ The Castle Tower ]

Directed by Satoshi Miyagi

Written by Kyoka Izumi

Music directed by Hiroko Tanakawa

Performed by Kazunori Abe, Kouichi Ohtaka, Sachiko Kataoka, Yuumi Sakakibara, Yu Sakurauchi, Haruyo Susuki, Momoyo Tateno, Ayako Terauchi, Tomokuni Nakaya, Maki Honda, Micari, Keita Mishima, Soichiro Yoshiue, etc.

■ 18 June at 19:30

■ 25 June at 19:30

■ 2 July at 19:30

Open Air Theatre UDO, Shizuoka Performing Arts Park

Duration:65 minutes

In Japanese with English subtitles

演出: 宮城聰
作: 泉鏡花
演奏構成: 棚川寛子
出演: 阿部一徳、石井萠水、大高浩一、片岡佐知子、榊原有美、桜内結う、鈴木陽代、舘野百代、
寺内亜矢子、永井健二、仲谷智邦、本多麻紀、美加理、三島景太、吉植荘一郎
6月18日(土) 19時30分開演 ・ 25日(土) 19時30分開演
7月2日(土) 19時30分開演

◎ 終演後に宮城聰(演出)とゲストによるアーティスト・トークを行います。

ゲスト:
6月18日 ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT PROJECT代表)

7月2日 しりあがり寿(漫画家)
※静岡市クリエーター支援センター(CCC)にて
通年展覧会イベント「いろいろやるら。」開催中

※6月25日につきましては決定次第こちらのサイト等でお知らせします。

◎ アーティスト・トーク終了後に、出演者と交流できる
「野外劇場前広場で逢いましょう!」を行います。
無料チャーターバス運行! 18:00/18:45【JR東静岡駅南口2番乗り場】→18:05/18:50【静岡芸術劇場前】→18:15/19:00【舞台芸術公園】
※公演終了後の無料チャーターバスは、アーティスト・トーク開始前は東静岡駅行き、アーティスト・トーク終了後は東静岡駅経由、静岡駅行きとなります。
舞台芸術公園 野外劇場「有度」

※背もたれのない客席になります。 ※雨天時でも上演いたします。

上演時間:65分
一般大人4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円

★SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引などの割引料金があります。
(チケット情報ページ参照)
★静岡県内の中学生以下の方は30名までご招待あり!(お問い合わせ・お申し込みはSPACチケットセンター TEL.054-202-3399まで)
渋谷発 浜松発 劇場直行無料バスを運行いたします。詳しくはこちらをご覧下さい。

9カ国28都市で絶賛された宮城演出の金字塔、7年ぶりに上演!

宮城聰演出の『天守物語』は、1996年に初演されて以来、日本国内、インド、パキスタン、中国、エジプト、韓国、アメリカ、フランス、台湾の9ヶ国28都市で上演され、各地で大きな反響を呼んだ宮城聰の代表作のひとつであり、2004年以来7年ぶりの上演となります。静岡のみならず日本全国の演劇ファンにとって待望の再演であり、また初めて演劇を観る方にも祝祭的な劇場体験を楽しんでいただける絶好の機会となるでしょう。SPACが満を持してお送りする『天守物語』にご期待ください。

泉鏡花の幻想世界が、風そよぐ初夏の野外劇場で華ひらく!

「人間界の理不尽さ」に翻弄される、白鷺城天守閣に棲む妖しの夫人・富姫と若き鷹匠・図書之助—。第一次世界大戦中に書かれた『天守物語』は、幻想的な世界のなかに強さとは異なる尺度で美を見いだした泉鏡花の傑作戯曲です。鏡花は、戦争へ突き進む時勢に疑問を抱いていたのかもしれません。風そよぎ木々の匂い漂う開放的な野外劇場で華ひらく、鏡花の幻想世界。SPACの演劇祭ならではの醍醐味をご堪能ください。

アジア演劇の探求が結実した、スペクタクル溢れる舞台

宮城は、アジアの多様な演劇伝統を現代の新しい創作につなぐ仕事をしてきました。『天守物語』には、その趣向が随所にちりばめられています。一つの役を語りと動きにわける「二人一役」の手法が成熟したのもこの作品です。この手法を用いることによって、言葉と身体の関係を見つめ直す仕掛けを創り上げ、その違和感のなかで葛藤する劇的な人間像を表現しています。宮城のアジア演劇探求の到達点『天守物語』は、ハイブリッドな<アジア的空間>に立ち上がるスペクタクルです。

あらすじ

戦国時代。「白鷺城」の異名をとる姫路城第五重は、「人間は生きて帰れぬ」といわれる、魔界の者たちの棲家。居並ぶ妖怪たちをつかさどる天守夫人・富姫は、猪苗代に帰る妹分の亀姫に、城主・武田播磨守寵愛の鷹を土産として持たせる。播磨守に鷹探しを命じられた若き鷹匠・姫川図書之助は、生きて帰れぬことを覚悟で第五重に現れる。富姫は妖怪に臆さぬ図書之助のいさぎよさに心をひかれ、命を奪わず地上に帰すが、主君の元に戻った図書之助はあらぬ誤解を受け、やむなく再び富姫の前にあらわれるのだった……。

『天守物語』は少女漫画にぴったり!
波津彬子 Akiko Hatsu

私は少女漫画家で、もう十数年前になりますが、泉鏡花の『天守物語』を漫画化させていただきました。なぜこの作品を漫画化したかと言うと、“不思議”がコンセプトの漫画雑誌がありまして、その編集部から依頼されたからでした。すみません、たいした理由ではなくて。とはいえ、鏡花の幻想譚には昔から憧れておりましたので、この機会に挑戦してみるのもいいかなと思ったのでした。若いって怖いもの知らずですよね。

さて憧れてはいても、仕事になるまで泉鏡花の原文をちゃんと読んだことがなかった、という申し訳ない状態でした。不安ですね。でも始めてみると、戯曲作品のきらきらしさは、少女漫画と通ずるところがありまして、抵抗感、違和感なく入って行けました。そしてお話の中の恋愛はほぼ一目惚れで(鏡花のお話には一目惚れが多いのですが)、運命的な恋であります。これはまさに女性好みのシチュエーション。なんと鏡花は少女漫画にぴったり!と調子に乗りまして、後に続けて『夜叉ケ池』『海神別荘』と漫画化させていただきました。でも私が“ぴったり”と思ったように、他にも「鏡花は自分たちのジャンルにぴったり」と思っている表現者はたくさんいると思います。現在もいろいろな形で鏡花作品を目にしますから。そこが鏡花のイマジネーションのすごいところですね。

感性の作家と言われる鏡花の作品は、正直読みやすいとは言えず、理屈で追うと負けてしまうようです。こちらも直感で探りつつ世界に入って行く感じです。そのためか、はまる人はすごくはまるのですが、全く読めないという声もよく聞きます。私は鏡花作品を読む以前に、彼の作品の人形劇や舞台、映画、そして清方や雪岱の美しい挿絵を見ていたことが、世界観に入って行く助けになりました。鏡花作品の入り口はビジュアル化されたものがいい、と私は勝手に思っています。ですからこの演劇祭の『天守物語』も、鏡花を知ってもらういい入り口になるだろうと楽しみにしています。

波津彬子(はつ・あきこ)
少女漫画家。石川県金沢市在住。1981年、雑誌「ALLAN」に掲載の『波の挽歌』でデビュー。現在、朝日新聞社「ネムキ」と小学館「flowers」を中心に作品掲載。泉鏡花の文学を漫画化し、『鏡花夢幻』として出版。

『鏡花夢幻』
原作:泉鏡花、作:波津彬子(白泉社文庫2000年、朝日新聞出版2007年)

泉鏡花の三大戯曲『天守物語』『夜叉ケ池』『海神別荘』を漫画化。鏡花の妖艶な世界を見事に視覚化し、原作ファンからの支持も厚い。

製作: SPAC (財)静岡県舞台芸術センター

泉鏡花(いずみ・きょうか)
1873〜1939

小説家。本名、泉鏡太郎。父は名人肌の彫金師、母は能楽師の家系。1890年上京、翌年尾崎紅葉の門に入った。『夜行巡査』(95)、『外科医』(96)などで観念小説の代表作家として名声を得たが、以後は浪漫的な作風に転じ、『照葉狂言』(96)、『湯島詣』(99)、『高野聖』(1900)、『歌行灯』(10)などを発表し独自の存在を示した。しかし、自然主義の勃興に伴い不遇となり、日本の伝統美を受け継ぐ最後の物語作家として再認識されたのは大正中期以後である。ほかに長編『婦系図』(07)や、『薄紅梅』(37)、『縷紅新草』(39)など。『天守物語』は1916年に書かれたが、泉の生前に上演されることはなかった。なおSPACでは『夜叉ケ池』を宮城聰の演出で2008年と09年に上演している。

(泉鏡花顔写真:国立国会図書館ホームページより転載)


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