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スカパンの悪だくみ

演出:オマール・ポラス
作:モリエール
出演:テアトロ・マランドロ
7月4日(土) 5日(日) 14:00開演
静岡芸術劇場
上演時間:105分
一般大人4,000円 / 同伴チケット(2枚)7,000円
大学生・専門学校生2,000円 / 高校生以下1,000円
★静岡県内の中学生は、30名まで招待あり。★親子室あり。
(お問い合わせ、お申し込みはSPACチケットセンター Tel:054-202-3399まで)

天才スカパン、まかり通る!
ロックとラテンのリズムに身を任せ、舞台上を縦横無尽にかけめぐるスカパン!
恋もお金も、みんな召使いスカパンが天才的悪だくみで解決してくれる。

オマール・ポラスが『スカパン』!? もうこれだけで、2009年ヨーロッパ演劇界最大の事件かも知れない。モリエールの「スカパン」といえば、道化役者なら一度はやりたい大役。オマール・ポラスといえば、コメディア・デラルテ以来の伝統をよみがえらせた、ヨーロッパ現代演劇界随一の道化芝居の名手。グロテスクなマスクと鍛え抜かれた俳優の身体によって、荒唐無稽なコメディが奇妙なリアリティをもって迫ってくるのだ。今年4月にスイスで初演されたばかりの新作が、早くも静岡に登場!

■あらすじ
父親たちの留守中に身元の知れぬ女と恋に落ち、ひそかに結婚してしまったオクターヴとレアンドル。帰ってきた父親を恐れる二人の青年は、悪知恵のきく召使いスカパンに助けを求める。スカパンは立て板に水のでまかせと八面六臂の活躍でケチな父親たちから金をだましとり、四人の結婚を承認させ、ついでに気にくわない親父を袋に詰めてめった打ちにする!だが、天才スカパンの悪だくみも完璧ではなかった・・・。

■テアトロ・マランドロと仮面
仮面は顔の演技を極度に限定してしまうため、現代劇ではめったに見られなくなってしまった。しかしポラスはテアトロ・マランドロ創立当初から仮面劇にこだわりつづけている。ポラスの舞台において、仮面は俳優を日常的な身ぶりから解放し、ダイナミックな身体の動きを可能にするものなのである。

■コラム
「古典について」 手塚とおる

 
 モリエールはスゴい!
 彼の書く言葉は、通常の、対人との会話としての“せりふ”と、言葉そのものがもつ美しいリズムと響きを含んだポエトリーとしての“せりふ”とが同居している「台詞」なのだ。僕が演出させていただいた『ミザントロオプ』もまた見事な「台詞」に満ちている戯曲でした。1666年に初演されたこのモリエールの作品を、僕は1946年に辰野隆先生が訳された名翻訳を使わせて頂き、台詞をそのまま当時の日本語で、現代語に直すことはせずに上演しました。
 この舞台の出演者は殆どが二十代の若者たち。最初は、自分達が普段話したり読んだりしている言葉と余りに違う為に、書かれてある台詞の意味すら解らなかった者が殆どでした。しかし、稽古を続けているうちに段々と台詞と身体がいい距離感をもって建ち上がってきた。それがこの芝居で僕がやりたかった事でした。役者が、身体と言葉(せりふ)をくっつけることなく舞台の上に立つ。それが出来ないと、舞台に戯曲を建ち上げることは出来ないと思う。今の日本の若い役者たちは、身体と台詞をくっつけて芝居をしたがる傾向がある。自分達が日常に使う言葉を、例えば「〜じゃん」とか「〜っつうかぁ」みたいな日常言葉を使う事で、芝居がリアルになった錯覚を起こしている。「台詞」を「日常会話」にすることが芝居ではない。「ミザントロオプ」で若い役者達とやりたかった事がまさにそれだった。
 芝居は、戯曲や台詞の本質を役者たちが身体的に建ち上げていくことである、と僕は思っている。その為には、もっと古典と云われている戯曲をやっていかなくてはならないのではないだろうか。今現代の僕たちの「身体」が、古典戯曲の「台詞」を読んでいく。そうすれば、古典は古典ではなくなると思う。
 
 今回のテアトロ・マランドロの『スカパンの悪だくみ』は、どんな「身体」でこの素晴らしいモリエールの詩たちを“現代”に甦えらせてくれるのだろう。とても愉しみだ。

手塚とおる(てづか・とおる)
photo_column_tezuka1983年『黒いチューリップ』(作:唐十郎、演出:蜷川幸雄)でデビュー。86年から劇団健康に参加。解散までの全公演に出演。その後、ナイロン100℃、大人計画、野田地図、劇団☆新感線、黒テント、サードステージ、劇団燐光群、TPT等に出演。役者としての仕事の他、演出家、劇作家としても活躍。

製作 テアトロ・マランドロ
共同製作 フォロム・メイラン劇場(ジュネーヴ)
カルージュ劇場(ジュネーヴ)
リヨン国立舞台「ラ・クロワ・ルース」
ル・グランT-ロワール=アトランティック
シャンベリー・サヴォワ国立舞台「エスパス・マルロー」
アヌシー国立舞台「ボンリユー」
シャトー・ルージュ(アンヌマス)
協賛 ジュネーヴ市文化事業課
助成 ジュネーヴ州
メイラン市
プロ・ヘルヴェチア
メイラン市文化スポーツ社会事業振興財団
後援 スイス大使館
コロンビア大使館
フランス大使館


オマール・ポラス

photo_scapin_1演出家、俳優。
 1963年、ボゴタ(コロンビア)生まれ。南米各地でダンスや演劇を学んだ後、20歳で渡仏。地下鉄で人形劇を上演したりしながら生活費を稼ぎ、ルコック演劇学校とパリ第三大学演劇科に通う。90年にジュネーヴ郊外の廃屋をアトリエに改造してテアトロ・マランドロを創立。バリ島、インド、日本などのアジア演劇の手法やロシアのビオメハニカなど、あらゆる演技法を貪欲に取り込み、人形劇やダンス、音楽などとも調和させていくポラスの演劇実験室は、ヨーロッパや南米の各地から若い俳優たちを惹きつけていった。99年には静岡でのシアター・オリンピックスに『血の婚礼』で参加、以来2007年まで計4回来静し、観客を魅了し続けている。「Shizuoka春の芸術祭」では他に『バッコスの信女』と『ミスター・プンティラと召使いマッティ』を発表。その他の代表作に『ユビュ王』、『貴婦人故郷に帰る』など。近年はオペラ(『愛の妙薬』、『魔笛』)の演出も多く手がけている。07年、コロンビア国家功労勲章を受章。
 今夏SPACの俳優とともに『ドン・ファン』を製作、10月に静岡芸術劇場で上演の予定。

モリエール(1622-73)

photo_scapin_2フランスで最も愛されている喜劇作家、俳優。
 王室御用達の家具商人の家に生まれる。大学で法学を学び弁護士を目指すが6ヶ月で挫折し、1643年、恋仲になった女優と「盛名劇団」を立ち上げる。しかし、劇団は2年で破産。モリエールは地方まわりの劇団に俳優として雇われ、コメディア・デラルテ風の喜劇を書き始める。役者として名前を挙げ、再び座長となって58年にパリに戻ると、ルイ14世に気に入られ、やがて太陽王の祝祭には欠かせない存在になっていく。今では『タルチュフ』、『ミザントロープ(人間嫌い)』、『守銭奴』などの性格喜劇で知られているが、当時一番人気をとったのは歌や踊りが入った「コメディ=バレエ」やファルス(道化芝居)だった。『スカパンの悪だくみ』(71)はモリエールがイタリアのコメディア・デラルテなどから学んだファルスの技巧がぎっしりと詰め込まれた晩年の傑作。この2年後、俳優として出演していた『病は気から』上演中に咳の発作に襲われ、その日の内に死去した。現在のコメディ=フランセーズはモリエールの劇団を継承している。